OHT株20億損失,弁護士が名義借り取引

 電気検査装置メーカー「オー・エイチ・ティー」(OHT,東証マザーズ コード6726 本社 広島県福山市)株の信用取引を巡り,顧客の代金未払いで証券会社に巨額損失が出ている問題で,都内の弁護士らが知人らの名義を借りて株取引をしていたことが判明してびっくりした。

 OHT株については,大和証券など東京,愛知,大阪の証券会社20社前後に,総額二十数億円の顧客の未払い金があり,多数の証券会社が同一銘柄の取引で損害を被る前代未聞の事態になっていた。

 借名口座で取引をしていた疑いがあるのは,東京都港区に事務所を構え,企業買収や国際訴訟を専門としていた弁護士(53)。東京や埼玉の中小企業役員や従業員,大手ゼネコン幹部ら10人前後が,弁護士や周辺からの依頼でOHT株取引用の口座を貸したとみられる。

 知人らの一部は,証券・銀行口座の通帳やキャッシュカードを渡し,10万円程度の現金を受け取っていたことを認め,「弁護士の肩書を信用した」などと話した。自宅や給与を差し押さえられ、自己破産を検討する知人も出ているそうだ。

 弁護士はOHT社が2005年6月に第三者割当増資を実施した際,新株の引受先の選定にかかわり,引受先3社のうち,シンガポールのファンドなど2社の代理人を務めていたといい,まったく職務を悪用したことになる。

 OHT株は,増資直後から取引が活発化。弁護士らは少なくとも06年春ごろには,借名口座で,委託保証金の約3倍の株まで売買ができる信用取引などを始めていた。当初10万〜20万円台だった株価は,今年1月には150万円台に上昇したが,5月中旬に赤字決算が予想されたことと外資系証券会社の空売り?で大暴落し,2日の終値何と20万7000円

 弁護士は暴落直後に雇っていた弁護士全員を解雇し,事務所を閉鎖した。事務所関係者は「今は全く連絡がとれない状態だ」だそうだ。

 俗に言う「鉄砲」というものであり,過去にもこういうことは証券界にあった。今頃20億を握りしめて高飛びしているかもしれない。結局,このOHT騒動は,一人の弁護士によって演出されていたことになる。人気blogランキングへ