増税の趨勢

atsuhirolaw2005-12-02

 先日政府税制調査会という,首相の諮問機関で税金を考える会から提言が出された。ここから改正に向けては,まずこの提言について議論がなされたうえで,12月中旬に与党から「税制改正大綱」(与党の基本的方針)というものが出され,来年3月くらいに法案が国会に提出され,可決されれば正式に「改正」となる手順となっている。
 今回の答申の内容については,「増税」の内容がほとんどを占めている。
 まず,大きなところは,個人の「定率減税廃止」である。ここ数年,個人の所得税と住民税は,ある一定の率(所得税は20%)が割引されていた。しかし、それがなくなる方向なのである。「年収700万円、妻と子供二人」というモデルでは,所得税・住民税が2年間で8万円程度増える。「年収700万円、独身」だと,13万円程度の増加となる。結構大きな影響がある。
 また,土地や住宅などを買ったときにかかる「登録免許税」が今は軽減されていたのだか,この軽減措置を廃止する方向である。首都圏で平均的な住宅(約4,200万円)を購入した際にかかる登録免許税が,約34万円から65万円に増える。これは,「住宅ローン減税」の効果を失わせてしまうほどインパクトの大きいものである。これでは,不動産取引が停滞するおそれがある。
 他にも法人税増税など,「増税」が盛りだくさんであり,その方向性は致し方ないとしても今後の動向に注意すべきであろう。