離婚法制

atsuhirolaw2006-01-02

 ヨーロッパでは,「神が結び合わせたものを,人が離してはいけない」(マタイによる福音書19章)という思想(大事な考え方ではある)の下長らく離婚について極めて制限的な立場が採られてきた。近世になっても,離婚原因を配偶者の一方に有責行為がある場合に限定していた。婚姻関係の破綻を理由とする離婚が明らかに認めるようになるのは,1970年代からである。
 日本でも,欧米ほどではないが,戦後も昭和27年の「踏んだり蹴ったり判決」のように有責配偶者からの離婚請求を認めていなかった(制限説ー離婚を制約しょうとする立場)。しかし,昭和62年に大法廷を開いて非制限説(広く離婚を認める立場ー但し経済的な給付での処理をきちんとつける)に転換したと見られる判決を出した。
 破綻して形骸化した婚姻に縛られるのは余り意味があると思えないので,離婚後の処理をきちんとした上で広く離婚を認めてよいだろう(特別の場合には,苛酷条項,信義則条項で処理をすればよい。)。