整理屋について

atsuhirolaw2006-03-06

1 債務整理について整理屋という者が存在している。整理屋についての実情は以下の通りである。引っかからないよう注意しなければならない。


2 整理屋達は,「債務一本化」等のうたい文句を,スポーツ新聞,夕刊紙等にほぼ連日のように広告して多重債務者を集めている(電車の広告も提携弁の可能性が高い)。客は,まず金融業者と思われる事務所に出向くが融資を断られ,かわりに「債務整理をしてはどうか」と勧められ「いい弁護士」を紹介される。


3 「いい弁護士」の事務所は大抵,駅から至近距離のビルに所在し,そこには薄いファイルが数百冊から数千冊整然と書棚に並び,若い女性職員10人前後がパソコンに向かって何やら作業をしている。法律書はほとんどなく,債権者と交渉していると思われる電話応答の声も聞こえない。壁には「遅滞金撃滅タイム(5時〜7時)」等の張り紙が張られていることもある。
 客は別室のパーティションで仕切られた小部屋に案内され,事務員と称する30代から40代の男性から約1時間前後事情を聞かれる。最後に男性事務員から,「あなたの場合は債務整理(又は破産)の手続をとります。毎月実行金として一定金額(8万円から15万円程度)を送金して下さい。」と指示される。実行金のうち弁護士報酬分がいくらで,債権者に対する送金額がいくらかの説明がなされることはない。この段階で弁護士執務室に案内され,弁護士と2、3分面談する場合もある。


4 その後,法律事務所から債務整理事件の進行状況につき報告がなされることは滅多になく,連絡があるとすれば,実行金の支払を遅滞した場合である。この頃から依頼者は弁護士に対する不信感を抱き始め,弁護士会のクレ・サラ相談に出向き,ようやく正しい債務整理処理が開始されるのである。



5 他方,整理屋達は,提携弁護士(司法書士)を絶えず物色している。物色対象は,高齢・病気・懲戒処分による業務停止明けの3パターンが多いと言われているが,実際は,業務停止の懲戒処分を受けた弁護士が最も狙われやすい。


6 整理屋達による調査は綿密を極め,かつての依頼者(刑事事件の場合が多い)等のつてを探し出した上,業停明けの弁護士に接近させ,「債務整理事件を手がける気はありませんか」と言葉巧みに提携話を持ちかけさせる。脈があるとなると,整理屋本人が登場し,「先生には毎月100万円(実際はさらに多い。)現金でお渡しします。事務所も事務員もコンピューターとソフトも全部うちで用意します。」と説明する。合意が成立すると,整理屋は弁護士名で新事務所を開設し,事務長以下の事務員を送り込む。事務所開設数ヶ月後には,連日多重債務者が事務所に押し寄せるようになる。


7 弁護士はどのようなルートで多重債務者が事務所に押しかけてくるのか分からない。「その後の結末であるが,ある日彼の事務所に弁護士会の委員会委員が調査に訪れる。その頃から彼の下に客がさっぱり来なくなるー整理屋は既に多重債務者の送り込み先を他の弁護士に切り替えたのである。と」