プロミスに対する神戸地裁の判決

 平成19年11月13日,神戸地裁控訴審・合議体,いわゆるレ号事件)はプロミスに過払い金約91万円の支払を命じる判決を出した。
 プロミス株式会社とこの原告は,昭和56年頃から平成2年9月6日まで取引を繰り返していた。
 同社は「過払金返還請求権は不当利得返還請求権である」「本件取引は,平成2年9月6日に終了しているから・・・不当利得返還請求権は遅くとも平成12年9月5日の経過をもって,全て時効消滅している」と主張した。
 
 神戸地方裁判所は「不当利得返還請求権については当裁判所も時効により消滅したと判断する」とした。
 
 しかし,この原告の取引開始時が貸金業法が施行された昭和58年11月1日よりも前だったことから
当時「超過利息の支払が貸金業法により有効な利息の債務の弁済とみなされる余地は全くな」く,「超過利息が支払われても、それを利息制限法所定の利率に引き直して債権管理を行うべきであ」り,「元本完済後の弁済金についても,不当利得として返還せざるを得ないものであることも認識し,あるいは当然に認識すべきであった」とし,同社の「過払金となる弁済金の受領行為は,債務者の無知に乗じ,適法に保持し得ない金員を収受するものというべきであるから,社会的相当性を欠く違法な行為といわざるを得ず,民法709条所定の不法行為を構成する」とした。
 そして神戸地方裁判所は、債務者が元本完済後に弁済してしまった過払い金が同社の不法行為による損害にあたるとして,その同額の損害賠償金などを支払うよう同社に命じたのであった。
 
 この判決が今後どのような影響を及ぼすか。理論的にもしっかりしているし,神戸地裁の合議体の判断なので,かなり信頼に値しよう(他の裁判所も同趣旨の判決をする可能性は高い)。当方も,この判決に基づき,提訴・訴えの変更をする予定である(ただ,昭和58年11月1日より前に取引開始し,かつ時効消滅している場合に限られ,こういう事例はそう多くなることはないだろう。)。
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