要件事実論(3)ー賃貸借

atsuhirolaw2005-11-27

 最近は,時節柄民事裁判(要件事実論)の学習に接する時間が多いのでこの話題が多くなっていますが,もうすぐ終わるのでご容赦頂きたい。
 さて,今回は賃貸借について検討したい。賃貸借では,賃貸借契約の終了に基づく土地・建物明渡請求が出題の中心である(なお,敷金返還請求が口述で出た)。
 この場合,請求原因として
 1賃貸借契約の締結(賃料と返還時期は本質的要素)
 21に基づく引渡(返還請求の前提として必要)
 3契約の終了原因事実
 4(建物収去土地明渡の場合はさらに)引渡後契約終了までの間に,土地上に建物付属,契約終了時その建物土地に付属していたこと
を主張立証しなければならない。ポイントは,土地と建物で借地借家法が当然考慮されるか否かが異なり,攻防方法に差が出てくることと,所有権に基づく請求と混同し易いので注意が必要である(57期の民裁2回試験では問題文の記述が紛らわしいこともあったが,ここを間違えたため,この科目だけで30人くらい留保になったそうである。)ということである。
 実務でも,この手の訴訟は数多くあり,近時は賃料減額請求訴訟(借地借家法11,32条)が注目されてきており,駅前の大型テナントビルの借り主が訴えている(訴額が億単位である。)ケースが増えてきている。