センスの良し悪し

atsuhirolaw2006-08-01

 自由と正義の平成18年4月号「ひと筆」で,東京地裁所長の金築判事が「センスの良し悪し」という文を書いておられ,極めて示唆に富むものであり何回も読み直している。以下ほんの少し抜粋する。
 
1 左陪席の起案について「裁判長は,少し言葉を足したり,削ったり,言い回しを変えたりする。すると,文章の趣旨は変わらないのだが,平板な表現が生き生きとして,見違えるようになる。」(裁判長のセンス)。
 
2 「もともと法曹の判断は,まず結論がで出て,理屈は後から付けるものだと言う人もいる。確かに,経験を積んだ法曹の場合,事案の内容を聞けば,途中の細かな理由の筋道は別として,どういう結論や解決策が妥当かつ可能かは,瞬時に思い浮かぶことが少なくない。
 これは,単なる山勘ではない。その事案のポイントがどこにあるか,含まれている主要な問題点をどう考えるべきか見通す総合的判断力の働きであって,いわばプロの判断の凝縮したものである。」
(プロの条件ー第一手で最善手が浮かぶ域に達しているかどうか。
 あらゆる場面で参考になろうが,とりわけ論文試験に役立つであろう(写真は祝田橋司法試験発表会場)。