過払金返還請求権の消滅時効

 時効期間は10年(最判昭和55,1,24)なのだが,問題は起算点である(明確な最高裁判例はない)。
 権利行使に法律上の障害がないときから進行するが,Ⅰ過払金が発生した日ごとに個別に進行するという説と,Ⅱ全体として取引終了時から進行するという説がある。
 Ⅰの説からも,現に借入・返済の取引が継続している限りは,過払金は新たな借入に順次充当されている(大阪地平成17,11,30)とか,新たな借入は債務の承認となり時効が中断する(名古屋地一宮支部平成16,10,14)とか,長期支払となったのは貸金業者の態度が原因であるから時効援用は信義則上許されない(大阪高判平成17,1,28)などの理由で消滅時効が完成することはない。
 とはいえ,微妙な事案もあるわけで,最高裁判決が待たれるところである。
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