(将来の)法曹になるためのリスク

1 【法科大学院学費等リスク】まず,大学の法学部等を出た後,法科大学院入試を突破し法科大学院に入学する。合格率が高い大学院へ行くためには相当の努力を要するし,入学後も授業やゼミ,課題などを相当にこなした上で,司法試験対策もしなければならない。入学金・学費も2年(既修者)で国立約200万,私立300万程度かかる。
2 【新司法試験2つのリスク法科大学院を無事卒業しても,苛酷な新司法試験が待ち受ける。来年の合格率は約30%であり,さらに5年以内3回受験というリスクがある。
3 【修習中の借金リスク】首尾良く試験に受かって修習生となっても,平成22年からは給与貸与制となり,300万程度の借金を抱え込む。
4 【2回試験リスク】修習の終わりには,通称2回試験(修習生考試)があり,今年は7.2%がこの試験に落ちているように,大変な試験となっている(来年以降は,不合格者がかなり増えることが予想される)。さらに,来年からは追試も廃止され,試験に落ちると翌年の試験まで待たなければならない。
5 【就職等リスク】修習中の,就職活動もかなり困難を極める。大手事務所は競争率は元々高いし,またイソ弁を雇うような一般民事の事務所は限られているので,採用のキャパシティはそう広がらない中,修習生はかなり増大することが予定されているからである。そうなら,法テラスに行けばよいと言うが,3年間薄給で使用された挙げ句使い捨てのような勤務条件である。
6 【収入等リスクー借金返済など】数々のハードルを乗り越え運良く就職できても,給与は近時低下してきているし,かなりの法科大学院学費や貸与された給与という借金(600万くらいか)を弁済し,さらに月5万ほどの高額の弁護士会費も上納しなければならない。税負担や社会保障費も重く,これでは手取りは相当低くなろう(20万円台か)。

7 確かに,人生はどこまでも厳しくできている。また,法曹が増えるのは国民にとって良い面があるだろう。しかし,これではリスク(試験・費用・時間)を冒し努力して数々の難関をくぐり抜けてきた挙げ句に待ち受けるのは「利益無き繁忙」のみであり,優秀な人材は費用対効果の観点からこの苛酷な過程に身を置くことを敬遠することになろう。
 近時,法学部人気は低迷し医学部が人気化しているのも,敏感な若者が以上のことを感じ取ってのことであろう。
 だからといって,もう後戻りはできまい。「債務整理・過払」のような弁護士が担当すべき新たな仕事の創造を儚く期待するしかない。
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司法書士につき,以下参照(18.9.6及び10.13の文)↓
http://www.ne.jp/asahi/nemuri/engetudou/buraian11.html