消費者金融業者の高収益ビジネスモデルの終焉

atsuhirolaw2006-12-18

 金融庁が公表した消費者金融の融資件数と残高は7割以上が年利20〜29.2%の「グレーゾーン金利」が占めていることが判明した。このことは,これまでの高収益が違法と合法の狭間の高金利頼みだったことが明らかとなった。
 
 確かにこれまでの消費者金融は,グレーゾーン金利の恩恵で儲け過ぎだったのだ。特にバブル崩壊後は,運用先のなかった銀行や生損保から超低金利で融資を受け,高金利で大きな利ざやを稼いだのである。銀行などから背中を押されて,過剰融資に走り,利益は極大化した側面が大きい。銀行が個人向け貸し出しに消極的で,リスクをとらなかったことも背景にある。その結果,多くの多重債務者を発生させ,今回の規制を招いたのは「自業自得」(金融庁幹部)と言われても仕方ない。

 現在消費者金融業者は過払金の返還に追われているが,関連法改正が将来の経営悪化に追い討ちをかけることになる。
 まず,改正法施行後は上限金利が20%以下になるため,利ざやは縮小する。
 とりわけ,特に1人当たりの貸し出し総額に上限を設ける総額規制はボディブローのようにひびき,収益は落ち込むことになる。武富士は、一般企業の売上高にあたる営業収益が改正法施行後には3割減ると予想している。三井住友銀と提携しているプロミスは、金利帯別で銀行と住み分けしてきた経営戦略の見直しに着手した。

 信用力で劣る消費者金融は,銀行には太刀打ちできないとの不安が根強い。株価が一時4000円を割って上場以来の安値をつけて,買収防衛策の導入を決めた武富士近藤社長は決算会見で,「法改正の打撃は大きい。消費者金融業界は合従連衡が起き、一気に寡占化が進むだろう」と述べている。業界再編も間近に迫ってきている。
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