死亡退職金の帰趨

atsuhirolaw2007-11-23

 死亡退職金は,会社の退職金規程により発生するが,当該規程に受給権者や範囲が定められている場合(殆どがこのケースだろう)には,受給権者たる遺族は相続人としてではなく,当該規程の定めにより直接,自己固有の権利として受給権を取得するものとされる。したがって,この受給権は相続財産には属さないことになる(最判昭55.11.27)。
 さて,受給権者に「配偶者(内縁の妻も含む)」との定めがある場合,法律上の妻と内縁の妻があるときにはどちらが受給権者になるか問題となる。当該従業員の収入で生計を維持していた者の保護を重視する死亡退職金制度の趣旨からは,長期に渡って夫婦としての社会的実態がある方が,「配偶者」に当たることになる(東京高判昭56.8.31)。
 最後に,死亡退職金の相続人が不存在の場合(特別縁故者がいる場合は別)には,結局「遺族」がいないことになるので,退職金規程により発生する権利であるとすれば,会社は支給しなくよいということになる(文献無し)。賃金の後払い的性格からは,何かおかしな結論だが,国庫に帰属するより会社に帰属したほうがいいということなのだろう。
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