鳩山法相に対して

atsuhirolaw2008-06-20

 鳩山法相が,朝日新聞素粒子というコラムにおいて「死に神」よばわりされて,大臣がおこるという一幕もあったが,昨年8月就任から死刑執行は既に計4回,13人は過去最多となっている。
 これについてマスコミの論調は,法務大臣が多く死刑を執行しているというものがおおい。なかには,秋葉原通り魔事件を意識して執行したという向きもある。
 しかし,これは認識として正しくない。死刑の是非はひとまず置くとして,平成20年6月現在,死刑確定者は戦後最多の103人(平成に入ってからは50人前後が通例であった)にも及んでいるのみならず,さらには高裁で死刑判決を受けて現在最高裁に上がってきている被告人はなんと52名に達しているのである。死刑を宣告する判決が増えたことが原因だが(この点についての議論もあろうがこれもひとまず置くことにする。),従来通り,1年に3人くらい執行していたのでは,拘置所における処遇に著しい支障を来すことになろう。
 したがって,法の厳粛な執行という立場から,粛々と刑を執行していくのは時代の趨勢としてある意味やむを得ないことなのである。何も,鳩山大臣が好んで執行していることではないのである。
 ちなみに,死刑執行は法務省刑事局の検事が死刑執行指揮書をじっくりと1年ぐらい時間をかけて記録を検討し「問題がないもの」について起案して(この点から死刑事件については最終審を刑事局とする4審制であると言われることもある。),大臣が朱色で最終決裁するものである。
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