刑事

法定算入

刑事裁判で,実刑判決を受けた被告人のその後の日はどのようになるのであろうか。判決日から上訴提起期間満了日までの15日間は,法律上当然に刑期に算入される(刑訴法495第1項)のである。 その趣旨は,被告人の控訴についての考慮期間として不利益を及ぼさ…

押しかけ当番弁護士

刑事の当番弁護で,通常被疑者・被告人の請求があって出動する当番弁護の他に,刑事弁護委員会が新聞記事等でみた事件について請求がなくても当番弁護士を派遣する委員会派遣【押しかけ当番弁護士】というのがある。 この制度は,被疑者からの請求がないこと…

留置生活も

逮捕勾留された未決者の留置生活は,食費などのお金はかからないが,しかしお金がないと不自由することが往々にある。 切実なものは,例えば歯ブラシなど個人的に使用するものは,持ってきたお金などの領置金がないと買えないなどの如きである。その他には,…

鳩山法相に対して

鳩山法相が,朝日新聞の素粒子というコラムにおいて「死に神」よばわりされて,大臣がおこるという一幕もあったが,昨年8月就任から死刑執行は既に計4回,13人は過去最多となっている。 これについてマスコミの論調は,法務大臣が多く死刑を執行している…

執行猶予判決を受けるとき

国選事件の判決のとき,ことさら被疑者国選からやっている事件(起訴は幸い認定落ちー罪名が軽くなるーとなった)などは,事件を締めくくる意味で,感慨深いものがある。 執行猶予か実刑か微妙な事案などは特にそうである。保釈されている場合には,再保釈請求…

元被告人からの手紙

国選弁護についてのアンケートが廻ってきた。来年から被疑者国選の対象が拡がることや裁判員裁判に関するものである。 それによると,従来の被告人国選の約8割が被疑者国選対象事件になるという。これに対応するためには,被疑者国選登録者を増やさなければ…

法廷で

昨日から体がだるく,どうやら風邪を引いてしまったようだ。とはいえ,裁判は待ってくれない。何とか,重い体をひきずりつつ法廷へ。 今日は,即決裁判。執行猶予が確実とはいえ,検察官や裁判官から厳しい質問が飛んだ。 その中で,即決とはいえ家族の情状…

桜の中を接見に

朝方は寒かったが,段々と暖かくなってきた昨日は,接見しに警察署に。途中,桜がきれいに咲いていた。 接見では,新旧取り混ぜて4人と接見した。平日の接見ということで,他の一般接見者との兼ね合いもあり,一人15分程度でさくさく進んでいった。まあ,…

示談交渉

土日にかけて,示談交渉に行ってきた。特に日曜日のはかなり遠方までであった。示談は刑事弁護では,負担が重い領域である。被害者と直々にあい,謝罪し被害弁償についての合意等までとりつけなければならないからである。 とはいえ,被害者の意思と食い違っ…

傍聴人

ある国選事件で,傍聴人がいたので被告人の友人かとてっきり思っていたのだが,法廷が終わって廊下で「友人の方ですか。」と聞いたら,支部法廷では珍しい単に傍聴している人であった。 以前,法廷に来て傍聴したら,とても興味深くて1日刑事法廷を見ていた…

雲行きが

昨日は週明けなので,電話が多い。警察署に出撃するタイミングが遅れる。 被疑者宅を経由して警察署へ行く。取り調べの状況は,芳しくないようだ。被害者の言い分のみに基づいて,自白調書を取ろうとしている。防犯ビデオという客観的証拠もあるのに。近頃の…

刑事裁判3連発から当番へ

今日の午後は,刑事裁判が重なってしまった。まず,被告人が4人の併合新件事件。弁護士が4人と修習生が1人弁護側席に座る。5人も並ぶと,大弁護団みたいで壮観だった。 お次は,窃盗事件の判決。弁論再開して被害弁償の書面を提出する。被告人と前日の接…

被害弁償

昨日は,窃盗事件の被害弁償で,ソフトと本を売っている大型書店に行ってきた。運良く店長さんと会えて,お店の事務所へ行く。テレビなどでやっている万引き事件の後通される,折りたたみ机と椅子がある例の部屋である。無機質なこの部屋どれくらいの万引き…

居なくなったと勘違い

ここのところ,かなり冷え込んでいて,まさに冬といった風情だ。 さて,1つ前の日記で,被告人が居なくなったと書いたが,これは私の勘違いで被告人の住んでいない母屋に行ってしまったことが原因だった。 後日電話連絡もあり,公判廷には,無事娘と共に出…

三連休だが

三連休だが,なんとなく仕事モード。溜まっている仕事を処理する。この時期はまた,賃貸事務所の契約更新や,確定申告といったものも迫っている。 在宅の被告人と連絡がつかないので,遂にタクシーで被告人宅へ。着いてみると,田園地帯の被告人所有の広い屋…

5万円

風俗営業法の刑事事件などをやっていると,だいたい過去にみかじめ料を支払っていた。その金額は決まって5万円である。なぜ5万円なのかはわからないが,需要と供給の均衡上形成されてきた微妙な金額なのであろう。 5万円といえば,即決裁判の弁護料も5万…

平成19年版犯罪白書

今日から出張なので,少々更新はとまります。 さて,平成19年版犯罪白書で平成18年の犯罪の動向等がまとめられている。犯罪白書は,かつて刑事政策受験者の必須アイテムであった。 1 刑法犯 一般刑法犯(交通関係業過を除く刑法犯)の認知件数は205万1,22…

国選事件の記録を整理する

年末なので,今日は国選事件の記録を整理した。 判決があって終了した順番にキャビネットに収納していった。平成18年はパンチ穴を空けてバインダーに綴じていたが,今年は指名票を一番上にして番号をふった上で,重ねて入れただけとなった。 昨年は選任件…

弁論再開

結審して判決まで2ヶ月待った挙げ句の果てに,検察が事情変更もないのに証拠調べ(捜査官の尋問)のために弁論再開となった。 ビックリしたのは,裁判所があっさり認めてしまったことだ。 じりじりして待っていた被告人はたまったものではない。 さて,まず…

被疑者弁護は略式命令で終了

昨日,被疑者弁護は略式命令で終了した。いわゆる在庁略式というもので,まず被疑者は検察庁で略式命令の公訴提起をされ,その後裁判所の仮監で待機して,簡易裁判所から略式命令の謄本の交付を受ける。それを受け取って,トコトコと荷物を持って検察庁の窓…

国選の資力申告書

金をたらふく持っていそうなのに,国選弁護にしていることに出くわすことがある。 資力申告書に正直に書いて,資産が50万円未満でなければ「貧困のため」とはいえず,原則として私選要請となる(私選が断られた場合は国選弁護請求できる。条文上は「その他…

道交法改正19.9.19施行その1

罰則強化の道交法が改正され施行されている。 特筆すべきは,飲酒運転の車両に同乗していた場合も,懲役2年以下又は30万円以下の罰金(運転者が酒気帯びの場合)で処罰されることになったことだ。 この犯罪の構成要件は,運転者が酒気帯びであることを「…

当番弁護で1日つぶれる

月曜日に出勤したところ,弁護士会事務局から「当番弁護3件入っていますよ〜」と聞いて一瞬固まった。いずれも,遠いところばかり。さっそく,午前11時から警察署巡りが始まった。 まずは最初の所へ。交通が不便なところで2時間に一本のバスで50分乗って…

国選事件が減っている?

弁護士会事務局の方と話す機会があつたのだが,最近国選事件が減少しているという。 まあ,たまたま検事の異動の時期で,起訴が遅れているのかも知れないとも思ったが,そうでもないらしい。 窃盗事件(万引き)は依然多いが,道交法違反事件(飲酒運転)や…

判決の日に

ある日,今日は国選事件の判決があるなあと,備えていると,検事から電話があって,共犯者が他の窃盗事件を自供し始めたので,判決を次回にしてほしいという連絡があった。 もしかしたら,追起訴になるかもしれないという。 まあ,判決してしまってもいいの…

裁判員用法廷

約2年後に,裁判員制度が始まるが,それに対応し裁判所【本庁】では続々と大きな動きがある。まず,駐車場をつぶして法廷を増設すべく,工事が始まっていた。次に,刑事部が1部増設されるようである(第4刑事部)。 裁判員制度導入は,刑事部を活性化させ…

保釈し,弁論を読む

今日は,保釈金が都合できたので,保釈金を納付し残りの被告人の身柄が解放された。 その後,割と大きな事件の弁論要旨を,論告に引き続き朗読した。24頁の弁論要旨を,時間的にどれくらい読んだだろうか,40分は優に超えていたかもしれない。ずっーと読…

保釈金が足らない

保釈請求して,めでたく保釈が許可されたが,保釈金を都合するはずの人が週明けではないと調達不可能だといい,被告人2人分の保釈金は確保されずに結局,1人だけしか保釈できなかった。 刑事裁判の見通しは,流動的なものに依存することが多く,なかなか思…

2件の刑事裁判何とか乗り切る

今日10月にしては暑い日に(蒸し暑くて午後からは法廷に冷房が入った),刑事裁判が2件あった。一つめは国選事件で,二つめは被告人が2人の私選事件だった。公判審理を終わってみて,何とか乗り切ったという感じだ。同日保釈も請求し,どうやら明日決定…

弁論要旨を書いている

時間がとれる土日に弁論要旨を書いている。弁論要旨とは,最終弁論(公判手続の最終段階における弁護人の意見陳述 法293条)を書面化したもので,その目的は弁護活動の集大成として証拠に基づき認定されるべき事実とこれに対して適用されるべき法律判断を…