民事起案の事実認定
刑事系の科目(特に刑事裁判)について事実認定は極めて重要であり,修習でもかなりの時間が費やされるが,民事系についても実務上その重要度は勝とも劣らない。起案では以下の順で検討がなされる。
1,直接証拠(主要事実を直接立証する証拠,例えば契約書,陳述書,証言ー人証は直接体験に限定)を挙げる。なお,成立の判断は省略されることもある。
2,認定できる積極・消極の間接事実を挙げる(例えば資金的裏付け,退去の事情,当然あるべきことがない等)。
3,「総合評価」
ア,直接証拠は→補助事実の検討による信用性判断
イ,積極・消極間接事実の検討(経験則を適用)による推認の可否の判断
4,結論・理由の形式
ア直接認定型
イ間接推認型(証人Aの証言によれば,OOが認められ,証人Bの証言によれば,XXのことが認められ,これらの事実を総合すれば売買契約の締結されたことを推認することができる。他方,証人Cの証言によれば,・・が認められるが,この事実は上記推認を妨げるものではない。)
ウ証拠不十分型(これを認めるに足りる証拠はない。)
エ推認不十分型(推認するに足りず。)
丹念に記録を読み込み,どれだけ経験則に符合するかを考えることが重要である。