■2005/11/15 (火) 弁護士年間2700人時代 (1)

 現行司法試験が廃止され,法科大学院卒業者が受験する新司法試験の合格者があと何年かすると3000人となる。任官・任検者を除いた,2700人もの大量の弁護士が社会に供給されると,どのようなことになるのであろうか。
 この点,弁護士が供給過剰となり,事務所経営が不安定となり不祥事が多発し,社会的信頼やステータスが崩壊すると考える人もいる。地方では,食えなくなった都会の新人弁護士が乱入するという。
 しかしながら,このように考えることは早計といえよう。
 まず,現在も弁護士事務所に就職する人の6割以上は,東京3会の弁護士事務所であり,東京には多人数を吸収できる能力はまだ十分ある。また,地方でも,東京では法廷に3人くらい出てくるように,1人の先生でやっていることを2人にしても十分やっていけると考えられ,端的に言えば今の倍に増やしても過剰とはいえない。企業内弁護士に入る人は,未だ少数派であり,この方面にもどんどん進出していくものと考えられ,さらに司法支援センターや被疑者弁護も始まり,弁護士の仕事も増えており,需要はまだまだ創出できるのである。
 以上のように2700人時代となっても決して過剰とはいえず,このような時代が到来することを恐れている決して少なくない弁護士は,少なくとも供給の制限された市場での楽な商売をしてきた思いを払拭できないでいるのだろう。